第3135日【 やはり危ないです。。。 】

第3135日【 やはり危ないです。。。 】

みなさんこんばんは!

今日は、最近ご相談をいただいた案件のお話。

相続の手続きのご相談でした。

被相続人はご依頼者様の配偶者さん。

相続人は、ご依頼者様と、被相続人の前妻さんとの間の子。

このご時世、別に珍しい状況ではありませんが、それでも若干の難儀を感じますよね。

ただ、この被相続人さん。

本当にしっかりした方だったんだろうな、と思います。

遺言書を遺してくれていました。

自筆証書遺言ですが、本当にしっかりした字で

「全てを妻に」

という内容のものが書いてありました。

ご依頼者様としては、この遺言書の検認を行い、その上でこの遺言書の利用して不動産の名義変更や預金の解約ができれば、と考えておりました。

が。

その遺言書(封がされていなかったので内容が確認できました)には、ちょっと怖い書き方が。

「妻●●に遺産を全て贈与する」

と書いてあったんですね。

ああ、怖い!!!

この「贈与する」という言葉。

これが怖いんです。

この「贈与する」という言葉。

この遺言書を利用して不動産の名義をご依頼者(配偶者)様に変更する場合は、その登記の際の「原因」が

「遺贈」

となります。

(遺贈は、相続を原因として贈与されることを言います)

実はつい最近(令和5年3月31日)まで、この「遺贈」による名義変更は、

『相続人全員の同意』

もしくは、

『遺言執行者の選任』

が必要でした。

つまりこの遺言書だけでは名義変更は不可能であったということですね。

今回は特に、依頼者さん以外の相続人の協力は、事情があって難しい状況。

(だからこそ、被相続人さんは遺言書を作成したのだと思いますが)

であるにもかかわらず、この遺言書では手続きができない可能性がありました。

今回は、本当にたまたまですが、令和5年4月1日から「遺贈」に関する登記に関する手続きの簡便化を図る法改正が行われ、

・遺贈を受ける側が法定相続人である場合

に限り、受贈者(受け取る側)だけの申請で登記が受け付けられる運用となりました。

これはひとえに、

『運が良かった』

と思います。

もし、法律が改正されていなかったら。

遺言執行者の選任を家庭裁判所に申請し、その遺言執行者を通して手続きを行い、報酬を支払う必要があったと考えられます。

では、今回はどうしておけば良かったのでしょうか。

それは

「贈与する」

という言葉を書くのではなく、

「相続させる」

と書けば、こんな心配をする必要はありませんでした。

今回の場合は、ですけれど。

遺言書を見ながら、一人で冷や汗をかいてしまっていました。

今回は、いつも通り、司法書士さんとタッグを組んでいけば手続きは問題なく進めていけそうです。

遺言書を書くにあたっては、いろんな情報がインターネットにも落ちていたりしますが。

その「情報」があなたにも正しく当てはまるかどうかはわかりません。

できれば、専門家をきちんと頼られることをお勧めします!

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この記事を書いた人

吉村 征一郎

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